救急救命士国家試験過去問題

解説で記載しているページは救急救命士標準テキスト第9版を参照して下さい。

42D1

68歳の男性。駅のホームで倒れるところを目撃した通行人が救急要請した。救急隊到着時観察所見:意識JCS300。自発呼吸なし。頸動脈を触知しない。心電図モニター上、PEAである。バイスタンダーCPRは行われていない。インフォームドコンセントをとるべき家族は見当たらなかった。指示要請を実施し、気管挿管と薬剤投与とを実施した。この対応は、「生命倫理に関する原則」のどれに該当するか。1つ選べ。

  1. 自律の尊重
  2. 善行の原則
  3. 公正の原則
  4. 正義の原則
  5. 無危害の原則

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P.16-17
生命倫理の4つの原則は、絶対的な拘束力を持つものではなく、場合によってはそれぞれの原則が対立する。また、1つの原則内において解釈が対立することもある。どの原則を最も優先すべきかの議論ではなく、これら原則に照らした丁寧な考察を、倫理的に正しい医療を行うための思考材料とすることが本質である。以下に、本設問に示されている「心停止患者に対し気管挿管と薬剤投与とを実施した」事例に対する解釈の一例を示す。
・自律尊重の原則
患者本人は意識障害のため意思決定能力がなく、その場に代諾者も存在しない
患者本人か代理人(本人の意見を代弁する者)の意見を確認するまで待つべきである
救助者が他の原則に従って判断したことを尊重すべきである
・善行の原則
心停止患者に対する気管挿管や薬剤投与は医学的に正しいとされる
救助者がよかれと思って判断したことを尊重すべきである
・無危害の原則
処置には合併症(食道挿管、アレルギーなど)があり、潜在的に危害を与えることになる
処置を行わないことにより生じる危害や危険を取り除くべきである
・公正・正義の原則
                     患者本人の属性(人種、性別、貧富など)にかかわらず、平等に扱うべきである
                     医療資源の適正な分配については問題がない (多数傷病者が発生した状況ではない)
本設問の解答としては、対応を行うために最も重視した原則として、善行の原則が適切と考えられる。

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第42回A問題99の場合
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