ジュネーブ宣言(1948年)
第2次世界大戦のナチス政権下の医師が行った数々の非人道的な医学実験の反省として、ヒポクラテスの誓いをアレンジして作られた医師の倫理に関する宣言。
- 医師の一人として入会を許されるに当たり
- 私は自分の人生を人間への奉仕に捧げることを厳かに誓います。
- 私は自分の教師たちに、それが彼らの報酬である尊敬と感謝を捧げます。
- 私は自分の仕事を良心と尊厳を持って行います。
- 私の患者の健康を第一に考慮します。
- 私は私に打ち明けられた秘密を尊重します。
- 私は全力をつくして高貴な医業の伝統を維持します。
- 同業者は兄弟とみます。
- 私の義務と私の患者の間に宗教・国籍・人種・政党・社会的地位の介入を許しません。
- 私は人間の生命を、その受胎の時以降、できるだけ尊重するように努めます。
- たとえ脅迫されても、私は自分の医学的知識を人間の法則に反するようには使用しません。
- 私は、この誓いを、厳かに、自由意志で、私の名誉にかけて守ります。
ヘルシンキ宣言(1964年)
ヒトを対象とする医学研究に関わる医師、その他の関係者に対する指針を示す倫理的原則に関する宣言。数回にわたり改定が行われています。1975年の改定により、インフォームド・コンセントという言葉が用いられるようになった。
アルマ・アタ宣言(1978年)
プライマリ・ヘルス・ケアは、すべての人にとって健康を、基本的な人権として認め、その達成の過程において、住民の主体的な参加や自己決定権を保障する理念。
リスボン宣言(1981年)
患者の権利に関する宣言。
- 良質の医療を受ける権利
- 選択の自由の権利
- 自己決定の権利
- 意識のない患者
- 法的無能力の患者
- 患者の意思に反する処置
- 情報に対する権利
- 守秘義務に対する権利
- 健康教育を受ける権利
- 尊厳に対する権利
- 宗教的支援に対する権利
オタワ憲章(1986年)
ヘルスプロモーションとは、人々が自らの健康をコントロールし改善することができるようにするプロセスで、WHOが提唱。
高齢者のための国連原則
この原則は(1991年)国連で採択。この中の5原則(自立・参加・ケア・自己実現・尊厳)は、全ての人が生きていく上でも尊重されなくてはならない。
リビングウィル
自己決定権を行使する方法の一つで、人生の最終段階(終末期)を迎えたときの医療の選択について事前に意思表示しておく文書。 [2]
ノーマライゼーション
障害を持っていても健常者と均等に当たり前に生活できるような社会こそが、通常な社会であるという考え方。こうした社会を実現する為の取り組みとして、バリアフリー化などがある。
国家試験過去問題
① ヘルシンキ宣言で提唱されたのはどれか。【看101AM4】
- リビングウィル
- ヘルスプロモーション
- ノーマライゼーション
- インフォームド・コンセント
- 正答
- 4
② 良質の医療を受ける権利を宣言しているのはどれか。【看107AM32】
- リスボン宣言
- ヘルシンキ宣言
- ジュネーブ宣言
- ニュルンベルク綱領
- 正答
- 1
③ 医療従事者による十分な説明に基づく患者の同意を示すのはどれか。【看104AM4】
- エンパワメント
- コンプライアンス
- リスクマネジメント
- インフォームド・コンセント
- 正答
- 4
④ 1991年に国際連合総会<国連総会>で決議された「高齢者のための国連原則」でないのはどれか。【看102PM59】
- 公平の原則
- 参加の原則
- 尊厳の原則
- 自己実現の原則
- 正答
- 1
⑤ 自殺企図の傷病者に対して救命処置を行う際の根拠となる生命倫理の原則はどれか。1つ選べ。【救39A24】
- 自律の尊重
- 善行の原則
- 正義の原則
- 公正の原則
- 無危害の原則
- 正答
- 2
⑥ 救急救命士の傷病者への対応で生命倫理の善行の原則に含まれるのはどれか。1つ選べ。【救41B6】
- 自己決定権を尊重する。
- 人としての尊厳を尊重する。
- 苦痛をできるだけ与えない。
- 最適の医療機関に搬送する。
- 手袋を使用して傷病者に触れる。
- 正答
- 4
⑦ 国際保健に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。【管27AM20】
- 資金の貸し付けは、政府開発援助(ODA)に含まれる。
- 乳幼児死亡率の削減は、国連のミレニアム開発目標(M DGs)に含まれる。
- 国際協力機構(JICA)は、政府ベースの技術協力を担っている。
- プライマリ・ヘルス・ケアの考え方は、オタワ憲章で提唱された。
- わが国は、WHOのたばこ規制枠組条約を批准している。
- 正答
- 4